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高浜原子力発電所の仮処分命令取消判決に関する社説の分析

【テキストマイニングによる分析のイメージサンプルとして作成したものです】

 2016年7月に、福井県の高浜原子力発電所の再稼働禁止の仮処分命令が大津地裁で下された。その後、仮処分命令を取り消す判決が2017年3月28日に大阪高裁で下された。これに対し、新聞各社は同判決の是非に対する自社の意見を社説で表明した。この社説の内容に、各紙ごとの特徴が出ているのかを分析する。
 対象となるのは読売・朝日・毎日・産経・日本経済・東京中日の6紙の社説。今回はテキストマイニング用ソフトウェアのKH CODERを用いて分析を行った。
 まず、頻出語(多く出現する単語)について、6紙まとめてみることにする。

 上表より、最も多く登場した単語は「原発」と「地裁」でありそれぞれ29回、次いで「安全」と「基準」の27回、「規制」と「高裁」の26回となっている。
 次に、各紙の頻出語についてそれぞれみる。

 上表より、読売新聞は「高裁」の7回、朝日新聞は「安全」と「基準」の8回、毎日新聞は「稼働」と「事故」の7回、産経新聞は「仮処分」の8回、日本経済新聞は「安全」と「地裁」の7回、東京新聞は「規制」と「基準」の6回である。

 次に、単語同士のつながりをみる。

上図より「高浜原発運転の判決」に関する結びつき、「福島の教訓踏まえた規制基準」を表す結びつき、「電力会社」を表す結びつき、「対策の検討」を表す結びつき、「地震動の評価」を表す結びつきに分けられた。

 単語を用いた対応分析(詳細は他項参照)の結果についてみる。

 対応分析の図(上図)をみると、各軸の説明度は、成分1は42.61%で、成分2は19.62%であった。この2軸からなる平面で集計結果の62.23%が説明できる。
図をみると、朝日新聞と毎日新聞の近くには「福島」や「事故」の語が付置されていた。これは、「安全に対する意識が、福島第一原発の事故前に戻ったような司法判断だ。(朝日)」や「福島の事故で原発の安全神話は崩れ、原因究明も十分とは言えない。(毎日)」といった、福島第一原子力発電所の事故に関する記述が含まれている。
 読売新聞・日経新聞の近くには「検討」や「稼働」の語が付置されていた。これは、「そのうえで、耐震性などの項目別に安全対策を検討し、いずれも「不合理な点は認められない」と結論付けた。(読売)」、「関電は安全対策を再点検し、地元の理解を得て再稼働させるべきだ。(日経)」といった、原子力発電の安全性への評価やそれを踏まえた再稼働を肯定的に評価する記述が含まれている。
 産経新聞の近くには「昨年」や「仮処分」の語が付置されていた。これは、「関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の運転差し止めを昨年3月に命じた大津地裁の仮処分が、大阪高裁によって取り消された。(産経)」といった、大津地裁の再稼働差し止め訴訟を否定的に評価する記述が含まれている。
 東京新聞の近くには「住民」や「策定」の語が付置されていた。これは、「基準地震動(耐震設計の目安となる最大の揺れ)の策定方法に問題があり、起こり得る地震の大きさの評価が過小、津波対策や避難計画についても疑問が残る。従って、住民の人格権が侵害される恐れが強い-。(東京)」といった、住民視点からの再稼働政策を否定的に評価する記述が含まれている。
 これらのことより、読売新聞と産経新聞の2紙は「高浜原発運転の判決」そのものについて焦点を当てて論じている一方、朝日新聞、毎日新聞、東京新聞の3紙は「福島の教訓を踏まえた規制基準」や「避難計画の策定」について焦点を当て論じていることがうかがえる。

平成29年4月19日

株式会社ペスコ 社会環境研究室 TEL 03-3435-9588

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